小話 2  【  雨 月 晩 夏  】











一陣の強い風が吹いた。

そしてそれは、花弁が舞い降りるかのように地面に降り立った。  

それと同時に揺れた長く青い髪が、まるで真意での炎のように麻生(あさき)には感じられた。

「君は・・・?!」

 突然眼前に現れ、自分を守るようにして立ちはだかる少女に驚きのまま誰何の声をあげれば、少女はそれに対してこちらを振り返ることなく、未だ咆哮を上げ続けている目下の化物を見据えたまま応えを返す。

「私は、火村(ひむら)が一、火之慧(かのえ)と申す。主は無事か」

 咄嗟に何についての確認かと考えたが、先ほど自分が発した誰何に対する答えと、怪我をしてはいないかという返事だったのではないか、と我に返り、慌てて返事を返す。

「え?あ、うん。何ともないよ」

「・・・そうか、ならば良い」

 ぶっきら棒に返された言葉であったが、それとは裏腹にこちらに見せている横顔のその僅かばかりの筋肉の緩みから、本当に心配をしてくれていたことが分かった。

 それに勇気を得て麻生(あさき)は、少女に尋ねた。

「火之慧ちゃん、あれって何なんだ?」

 一瞬、それと分からぬほどその小さな身体を震わせたが、少女・・・火之慧は視線をその化物に向けたまま、いつの間にか握っていた通常の二倍から三倍もあろうかという日本刀を鞘から引き抜いた。

「何者でもない。あれは単なる犠牲者(ばけもの)だ!」

 そう言い放つと同時に少女は強く地面を蹴りつけ、自身の十数倍もあろうかという“犠牲者”と言う名の化物へと斬りかかって行った。















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≪コメント:はい、お気づきのあなた様は正解です。漫画で一向に更新されない例のあの話を小話としてUPしてみました。むしろ撤去して、小説として打ち直した方がいいのでは??とか考える今日この頃。
この小話に限らず、続きが気になるものでもございましたら、教えていただければ、どういう形になるか分かりませんが、続き(っぽいもの?)を書くかもしれません(^_^)≫