【ガレリアンズ】(カイン→リオン 兄弟愛)
真実の話をしようか。
嘘偽りのない真実の話を。
ボクはね、ママの保育器の中に居る君を一目見た瞬間から、確信したよ。
君とボクは、この世界で唯一の兄弟であり、本当の家族なんだってことを。
姿形が同じだからとかそういう視覚的なものじゃないんだ。
ガレリアンであるボクたちに心があるかどうかなんて分からないけれど、それでもボクは確かに感じたんだ。
こう胸の奥がぎゅっと暖かくなるような、そんな温もりを。
でも、それと同時にとても怖くなったよ。
ボクたちはガレリアンだから。
まだ今は汚れも苦しみも知らない君だけど、君が目覚めた瞬間から、君の世界は絶望へと変わってしまう。
繰り返し続けられる、頭がいかれてしまいそうになるほど強力な薬剤投与と人体実験の毎日。
時には人間を殺し、全身をその返り血で真っ赤に染め上げ、気が狂って、能力が暴走して死んでしまえたらいっそ楽かと思えるようなそんな日々。
それでも死ねないのは、ボクたちはこの世に生れ落ちた瞬間からママのために生きなければならない・・・頭の中に聖痕のように刻み付けられているから。
逃れられない運命。
避けられない定め。
ならば、君が目覚める前にボクが全てを終わらせようと思うんだ。
少しでも君の苦しみが減るように。
少しでも君の痛みが減るように。
少しでも君の目が負の感情にひきづられて澱まないように。
少しでも君の手が穢れないように。
だからママに言ってボクがパスカーレの娘を探してくるよ。
探し出して、そして、殺す。
そうすれば、君は少なくとも一人は殺さずにすむだろうから。
ねぇ、聞いても良いかい?
君は生まれてきたことを後悔するかい?
君はガレリアンだということに絶望をするかい?
ボクはね後悔したよ。
後悔したけど、だけど、生まれてきたからこそ君に会えた。
ボクは、ボクを生んだママを恨むよ。
そして、ママを創ったシュタイナーとパスカーレもね。
恨むけど、憎いけど、でも、これだけは言うよ。
「ありがとう」と。
君を生んでくれて、君に出会わせてくれたこの運命を創ってくれたことに。
「ありがとう」と。
だから、さ。
だから、君もそう思ってくれたら嬉しいよ。
愛おしい我が弟――・・・これがボクの真実。
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