【  世界の終焉の先に待つものは?  】  




























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2,3言葉を交わした後、神父は、己の斜め後ろに控えていたマティルダへシスター・ケイトをここへ呼ぶよう声をかける。

それに静かに一礼をししずしずとその場を後にしたマティルダは、それほど時間を置くことなく、シスター・ケイトを伴って戻ってきたのに対して、神父は笑みを浮かべて迎えた。

「ああ、シスター・ケイト。彼らは、しばらくここに滞在することになりましたので、彼らに不自由がないように丁重にお世話なさい。・・・それから、ああ!」

何かを思い出したかのように神父は、クロトたちに視線を戻し尋ねるには、

「御二方、夕食はもうお済でしょうか?」

「え、あぁ、いや、まだです。夕食の準備をしている最中に夜盗に襲われてしまったので・・・」

リヒトのその答えに、クロトもこくりと頷くと、神父は、

「それでは、ちょうど一階の食堂にて子供達が夕食をとっているころですから、よろしければいかがですか?」

それにリヒトは破願してお礼の言葉を伝えると、ヴェルゼは笑みを深めて2、3度頷いた。

「お困りの方に手を差しのべるのは当たり前のことですよ。・・・ただ、これから食堂までお二方を私がご案内できたら良いのですが、これから少しばかり出掛ける用事がございますのでここで失礼させていただきますね。」

「えっ、これからお出掛けになるんですか?」

「?はい、人と会う約束をしておりますので・・・何か」

眉をひそめ何か考える風のリヒトに疑問を持ったのか、ヴェルゼが訊ねるのにリヒトはしばし逡巡の後口を開いた。

「・・・先程、教会の入口付近で不審な男に出くわしたので、まだその辺りをうろついているかもしれません。どうぞお出掛けになるなら十分気をつけてください」

「そうですか・・・ちなみにその男の風体など覚えていらっしゃいますか?」

ヴェルゼの問いにリヒトが、男の特徴を上げていく。

「・・・背が私より高く、筋肉質でがっちりとした体型・・・年は四十ほどで・・・暗闇でも分かるほどの赤ら顔の男でしたね」

「・・・運び屋さんだった。荷車が側にあったから」

それにポツリとクロトが付け足す。

二人の話すその男が何者なのか分かったのか、「ああ」とヴェルゼは頷く。

「その男は、名をゲイル・・・と申しまして、この国で運送・運輸業のような仕事をしています。荷物を運んだり、時には手紙等も運んだりしているようですが・・・今日彼は、ここに用事があって立ち寄った帰りで、いつも裏口から入るように言っておいてるのですが」

「・・・ここに、用事があったの?」

クロトは小首をかしげヴェルゼに問う。

「ええ、そうですよ・・・それがどうかしましたか?」

「・・・ううん、何でもないよ」

何でもないと言うには思案げなクロトにリヒトが声を掛けるより早く、別の声があがる。

「神父様、そろそろ・・・」

マティルダの声にヴェルゼは慌てて腕時計で時間を確認するや、些か焦ったように立ち上がり申し訳なさそうに眉尻を下げる。

「申し訳ないね、もう時間のようですので、私はこの辺りで失礼しますね。・・・ケイト、彼らを食堂にご案内なさい」

それに頷き返したシスター・ケイトは、先に立ち「こちらへ」と二人を促す。

三人が廊下へ出ると、すぐに扉が閉められる。

いやに静かな廊下にその音は酷く大きく響いた。













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≪コメント:難産。書き直し入るやも・・・≫