【  世界の終焉の先に待つものは?  】  























1-6
























小さく狭いその室内を、暗闇は満たしていた。

暫しの間の静寂。

≪じじっ≫と、微かに何かが焦げ付くかのような音と共に瞬の後、四方八方に四散して伸びる光の射光。それによって映し出された影は、濃いものから薄いものまで十数見受けられる。

それらは灯りの根源たる室内用の小さな角灯の炎の揺らぎを感じ取り、身を震わせる。

「・・・ ・・・ねぇ、どうするの、これから?」

ふと、周囲にいる者たちに問いかけるようにして、どこか不安げな幼い声音が響く。

「どうするって・・・どうかしたら、おマエはやめるのか?」

先の問いに対して些か皮肉にも取れるような言い回しで問い返す声も、先の声の者と変わらずその声は幼い。

「そ・・・そんな、ことは・・・ない、けど・・・。・・・ ・・・でも、でも・・・」

「『でも』ナニ?はっきりイいなよ。そいうはっきりモノをイわないコ、オレきらいなんだけど」

「ご!・・・ごめん・・・」

それだけ言って、最初に言葉を発した子は、俯いてしまう。それを見て、「だから、それがきらいなんだけどね」と忌々しそうに言い捨てるその子供に対して、また別のものが―その者もまた彼らと同様に幼いのだが―宥めるように、苛立つ少年の肩を優しく叩く。

「おちつきなよ、≪Vingt(ヴァン)≫。≪Sept(セット≫だってワルギがあってああイっているんじゃないんだから」

それに「わかってる、わかってるけどさ・・・!」憤慨隠し切れぬヴァンを見、さらに萎縮してしまうセット。

「ダイジョウブ、まだジカンはあるさ」

「そんなユウチョウなことイってられないことぐらい、あんたがイチバンわかってるはずだろ≪Six(スィス)≫!」

その怒声にスィスと呼ばれた少年は、ヴァンの口を手で塞ぎ、それを見て角灯の明かりを慌ててベットの薄い掛け布団で覆い隠すセット。それと同時に奥の階段から誰かが上ってくる気配を感じ取り、三人は息を殺す。

一歩、二歩、三歩。。。

階段を上りきったその足音は、徐々にだが三人の部屋の方へと近づいてくる。そして、その足音が近づいてくるのと同時に、廊下とを隔てる扉の下の僅かな隙間から足音の主と思しきものがもつ灯りが室内に滑り込んでくる。

緊迫した空気が三人の居る室内を覆う。どのぐらい時が経っただろう。いや実際の時間などものの1、2分のことだろうに、それが永遠にも近いように感じてしまう。足音の主は、彼らの居る部屋のあと一室手前まできて立ち止まり、辺りを窺うように角灯でもって周囲を照らし出して異常がないことを確認したのか、またもと来た道を戻ってゆく。

完全に足音がしなくなってから、セットは覆っていた布団を剥ぎ、スィスはヴァンの口から手を外す。

「・・・ゴメン」

小さな謝罪にスィスは小さく微笑んで謝罪を受け入れる。

「・・・いいよ。ヴァンのキモチがうれしいよ。ボクのことをシンパイしてくれたからだろうし」

「・・・ボクも・・・ゴメン。・・・ボクもヤめないよ、ぜったい・・・。ただ・・・ただ・・・」

「ただ、シンパイだったし、コワかっただけだよね?そのアトどうなるかとかカンガえたから」

スィスの言葉に、うん、と小さく頷くセットに、「バカが」とヴァンがまたしても唸る。が、その声音に先ほどのような棘が含まれていないことに二人も気がついているのだろう。どこか親類に対する温かみのような、そんなニュアンスの含んだようなもののように聞き取れたから、それを咎めることも、また怯えることも無かった。

「カンタンなことだ。あいつらがイッタイナニモノかはシらないけど、オレたちのジャマをするやつは、みんなテキだ!そのアトのことは、そのアトカンガえればいいことじゃないのか?だいたいおマエはあれこれとわけワかんないことでナヤみすぎるんだよ」

そのヴァンらしい言にスィスは小さく笑って、肯定の応えを返す。

「そうだね、セットはスコしシンパイしすぎだよ。ヴァンのように・・・とはイわないけど、そのぐらいでもいいんじゃないかな。・・・タシかにカレらのドウコウはキになるけど、このケイカクだけはジッコウしないとダメなんだ。ツギなんてもうないかもしれないんだから・・・」

それに二人は強く頷いて、三人はそこで手を握り合った。この計画を実行に移すため、この願いを、誓いを必ず成功という形で果たすために。

静かな時だけが、深まっていった。











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≪コメント:・・・えぇと、ほんといつになったらこのグレゴリウス編終わるんでしょうか・・・?ちょうどこのあたりから話が割りと確信ついてきたりするはずなんですが・・・まだ主要人物が出てきてないのがいただけないですね。今回の話はもちろん、前回の話の続きになるんですが、次の回に、本当の主人公らの続きにはなります。今度こそ、神父様(ファーザー)が出てきます(・・・というか出させます;)。そう言えば、前回1-5のコメントにて、次回は神父出します、やらなんやら言っていたようですが・・・ゴメンなさい!話の都合上、先にこちらを載せるべきかと思いまして;一応のこと、このグレゴリウス編は、主人公たちの立場?というか、この世界の立ち位置的なものを知っていただきたいなぁと思って書いているので、話自体が若干予定より長くなりかけていたりしはするんですが・・・(個人的に、10話〜15話完結程度に考えてます)。割と行き当たりばったり的なことはやめて、次へ次へと行きたいのですが・・・『何気に無計画』昔、ニュアンスが好きだった言葉なんですが、今ふと頭の中によぎる今日この頃です。。。≫