『・・・ ・・・ ・・・ ・・・ね・・・きて・・・ ・・・さ・・・』


『・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・はや・・・ ・・・きてく ・・・ ・・・ら


『・・・ ・・・ ・・・た・・・ ・・・じま・・・ ・・・るで・・・ ・・・か・・・』















  【  人 形 の 見 る 夢  】  




















※ 注意!!!

この先、多少のグロと多少のエロが混在しております。

当サイトは一般向けを対象にしておりますので、過激な発言等はしておりません(おそらく)

無理やり骨を折られたり、多少スキンシップ?程度の触れ合いを行なっていますが、許容いただける範囲であると思います(グロさについては、ある程度グロイですよ)。



が、そんなグロさも多少のエロさもいらないし、読みたくない・・・と言う方は、ブラウザバックでお戻りくださいませ!!!



それ以外の方は、このままスクロールしていってお楽しみ下さい!





























1-(3)






















「――――・・・か、ゆき」


ふっと自身の発した言葉が耳に届き、急速に意識が浮上してくるの感じ、百合は目を覚ました。


ぼんやりとした意識の中周囲を見渡して、相も変わらずあの薄暗い部屋の中なのだと理解すると同時に、頭を襲う鈍い痛みに百合は、些か眉を顰める。そして、その痛みの理由が何であるかを悟るや、重く深い溜息を一つついた。


『竜神様への人身御供』


百合の居た村では、ここ三月ほど雨が一滴も降っていない。村にある井戸も溜池も干上がり、田や畑の土は乾き罅割れ、折角実った野菜や稲もほとんどが枯れてしまった。もともとこの辺りの土地は竜神様の御加護により一年を通して潤沢な雨と日光に恵まれていた。今のように雨が降らない日が何ヶ月も続くと言うのは、今までに見ても例がない。それを憂えた村長でもあり、百合の夫となる孝之の父が竜神様へ人身御供として百合を差し出したのである。


普通、人身御供としてなされる者は女性であり、未婚で若く健康なものを差し出すと決まっていた。百合は孝之と婚約をしていたもののまだ婚姻をしていない。村には若く健康なものたちはいるが、なぜ百合にと決まったのかは村長も詳しい話はしてくれなかった。いつどうやってこの場所へ連れられてきたか、またここがどういうところなのかも百合には分からなかった。


ただ、百合は悲しかった。


村の水不足という危機はあるものの、来週には愛する男と婚姻の儀をかわし夫婦となり、共に手を取り合って生きていけるとそう思っていたのだから。


ここから逃げ出すことも出来るかもしれないが、ここから逃げたとして迷惑をかけるのは夫になる孝之や家族。小さな村である。村八分などになってしまえば、家族は生きてはいけないだろう。孝之や義父となる村長の対面も考えれば、どうしても逃げ出すことは出来なかった。


百合の大きな瞳からは、大粒の涙が堰を切ったように溢れ出す。そしてそれに伴って心臓が大きく脈打つような頭痛も増した。


薄暗い室内に百合の嗚咽が木霊した。




















どのぐらい泣いていただろうか。


ふと、腕や項が総毛立つような感覚を覚え、百合ははっと顔を上げた。


しかし目に映る室内は変わらず薄暗いまま。室温も下がったようには感じられない。それでも、腕や項の毛はその何かを察知しているかのように逆立っており、寒くもないのに自然に自身を抱きしめるように縮こまる。


ズッ・・・ズッ・・・。


と、聞き落としてしまいそうなほど微かな衣擦れのような音が気がして百合は、周囲に世話しなく視線を巡らせば、つと、明り取り用の小さな窓に視線が釘付けになった。


ズッ・・・ズッ・・・。


先程より大きくはっきりとした音として百合の耳に届く。


(――・・・何かが・・・近づいて来る!)


ズッ・・・ズッ・・・。


始めは衣擦れのような小さな音であったのに、今では何か重たいものでも引きずっているかのような鈍い音が、だんだんとこの部屋に向けて近づいてきた。


そしてそれは、この部屋のちょうど前・・・小さな窓の真下までくるとその音はぴたりと止んだ。


シンと辺りは静まり返っていた。恐怖のあまり早鐘を打ち続ける百合の心臓の音が妙に大きく聞こえるような気がした。自然と口の中に溜まった唾液を無理やり嚥下させれば、コクリと異様に大きな音が鳴った。


それと同時にあの不可思議な音が、壁をズルリ、ズルリと登りだしたものだから、百合は小さく悲鳴をあげ、部屋の隅へとずり下がり、ガタガタと身体を震わせながら身を小さくする。


ズルリ・・・ズルリ・・・。


そしてそれは、とうとう窓へと達したのか、部屋の内側へと入りこみ、百合の方へと徐々に徐々にと近づいてくる。薄暗いため、それがどんな色をしているかは分からないが、二尺三寸ほどの水溜りのようなものがうねうねと蠢いていたのだ。


「ヒッ・・・!!!」


百合は引きつったような悲鳴をあげ、逃げようとするが腰がぬけてうまく立ち上がることが出来ない。這い這いをするように逃げ惑う百合の細い足首を、ソレは捕らえた。


「ぎゃああッ!!!」


ソレは粘膜のように柔らかく湿っており、そして異様なほど冷たかった。吸い付くように離れないそれを取り除こうと足を躍起になってバタつかせると、ゴキリ・・・と、何かを叩き折るような音が響いた途端、百合は脳天をかち割るような鋭い痛みに、悲鳴をあげた。続いて、焼けた鉄板にでも肌を押し付けたかのような熱さが、百合の左の足首を襲った。


あまりの痛みに冷静になどなれなかったが、ただわけのわからない生物によって百合の左の足首の骨が折られたことだけが分かった。


「ヒィッ!ヒギィッ!!」


声にならない悲鳴をあげながら、それでも百合は逃げようともがけば、今度は無事な反対の足首にもソレは巻き付き締め上げた。


「あああああああああ!!!」


ミシミシと骨が軋みあがるのに、百合は痛みから意識が朦朧とし始め、次第に抵抗をやめ、ぐったりと床に倒れ伏せた。


するとソレは、百合が抵抗をしないのを確認するや百合の痛みと恐怖とで小刻みに震える小さな身体を仰向けに引き倒し、その上に乗りあがってくる。


ゾロリ・・・ゾロリ・・・。


ソレの冷たい粘膜が、百合の腕を首筋を撫でるようにくすぐる。


それが徐々に百合の着物の内側の胸や足の太腿を付け根の方へと撫ぜ上げるようにするのに、それが示す行為の意味を悟り、改めて強い抵抗を始めた百合に、ソレは暫し動きをとめた。


<・・・ ・・・何故拒ム?>


突然、男の声が上から降ってきたのに驚き、百合はそろりと瞼を開けた。そこで百合の目に飛び込んできたのは、蒼く輝く二つの目。ついで、この世のものとは思えぬほど神々しさを伴って完璧に美しく整った青年の白磁の面。


<・・・ ・・・汝ハ何故我ヲ拒ム?>


百合は息を呑んだ。なぜなら眼前の男は、声を発せども口はまったく動かしてはいないのだから。耳に届く声も実際は、頭の中に直接語りかけてくるかのよう。


男は何も言わない百合の頬へと手を伸ばしそっと撫ぜようとするが、百合はその手を見て「ヒッ!」と鋭い悲鳴を上げて身を捩じらせて逃げうつ。


男が伸ばした手は、はじめ水のように透明感のある節や突起のない触手であったのたが、次第に変化し、指が生え、節が出来上がった。そして肌は、人間のものというよりは魚類がもつような鱗がびっしりと敷き詰められている。


それをつぶさに目撃してしまった百合は、引き攣ったような声音で誰何する。


<・・・我カ?我ハ天宮神 ヒトハ竜神ト呼ブ者也>


「竜・・・神・・・・・・さ、ま?」


天宮神・・・竜神と名乗った男を、痛みを忘れたかのように百合は食い入るように見つめた。百合は生まれてこの方竜神の姿を見たことがないので、そうだとも断定ができずにいたが、彼がもつ神々しいまでの雰囲気といいその姿形といいただ人でないことはたしかであった。しかし、それが神であるかあやかしの類であるかは判別をつけることはどうしても出来なかった。


それでも百合は、それについてはどうでも良かった。ただどうしても知りたいことがあったのだ。そもそも、人身御供に選ばれるものというのは、


「竜・・・神、様?教えてください。なぜ・・・なぜ村に雨を落としては下さらないのでしょう?!なぜ、人身御供が私でなければならなかったのでしょう?私は・・・婚約を誓った相手がございます!村には私よりも若い娘も健康な娘もおります・・・なぜ私なのでございましょうか・・・!」


その百合の必死の問いかけに、今まで無表情でいた竜神がふと笑んだように見えた。


<我ガ汝ヲ見初求ムレバ 村長ガソレニ同意シタマデ 彼奴ハ汝ヲ差シ出スコトニ躊躇イナク返事ヲシテオッタカラノ 汝ヲ手ニ得ルタメニハ水ヲ絶ツコトガ最善ノ策デアルト 機ヲ見テ汝ヲ差シ出ソウト言ウテオッタ>


「う・・・嘘です!嘘です・・・そんな・・・なんで・・・村長!!」


<我ハ神デアル 虚偽ヲ申スコトハ出来ヌ>


竜神の言うことに驚愕し、百合は呆然とした面持ちで、大きな黒曜の瞳を揺らめかせ言い知れない思いを唇を震わせながら音に乗せる。


「・・・義父さん・・・祝福をしてくれたのではなかったのですか・・・?孝之との婚約を・・・私を厭うておられたのですか・・・?」


竜神は、百合の頬を床を濡らす涙を拭うかのように舌でなめ取りながら彼女の耳元でそっと呟く。


<彼奴ノトコロノ息子ニハ街ノ豪商ノ娘ガ嫁ギニ来ルソウダ>と。


それを聞いた百合はビクリと身体を大きく震わせた後、糸の切れた操り人形のように、その場に崩れ落ちた。


竜神は手でそっと百合の眼前の虚空を横切るように緩く振ってみるが、百合の瞳は意識はあるものの焦点を結ぶことはなく、どこか遠いところを彷徨っているようであった。先程中断された行為を続け、百合の白い柔肌を暴いても、その秘めたる最奥を犯し花を散らしたとて、彼女の瞳には何も映りこむことはなかった。















 ⇔ 






<コメント:も・・・申し訳ございませんでしたぁ!!!orz =3 =3 (←スライディング土下座)
長らくお待たせしてしまっていた続きです!
だいたい管理人が続きをすぐ出しますというやつに限って、めちゃくちゃ放置しつづけるという・・・何とも救いようもない管理人で、本当に申し訳ないです。

誤字脱字も多々あるような気がしますが、とりあえずUPして、それから訂正させていただきます(泣)

ちなみに、この竜神様の名前は、全くの偽りです。竜神様がエロ設定ですみません。>